といっても今では「？」となる人が
多くなったと思います。
実際その痕跡もかなり消えていますから。
シャングリ・ラホテルがある尖東や
きらびやかな太古廣場も
以前は難民キャンプでした。
今日は香港の難民キャンプの一つを
お話したいと思います。
キャンプの中にも
事実上香港人は入れない場所がありました。
その名は調景嶺。
もともとは吊頚嶺という
非常に....な名前だったのですが
（首吊り嶺ですから.....）
中国語の音が似ている調景嶺になりました。
→diao4 jing3 ling3
吊頚嶺
→diao4 jing3 ling3
調景嶺
ここの難民が特徴的なのは
国民党の軍人とその家族だったことで
彼らが香港に流れ着いた経緯をざっと書くと
1945年敗戦に伴い日本軍が撤退。
すると中国で国民党（蒋介石）と共産党（毛沢東）の内戦が再開。
金権政治の蔓延で支持を失った
国民党軍･国民党政府（約200万人）は台湾に逃げ、
1949年中華人民共和国が成立。
その時に香港に逃げてきたのが彼らだったわけです。
さらにタイ・ミャンマー、ラオスの国境付近にも
11万人もの国民党軍がいたのです！
台湾の軍司令部は、第二の「台湾」を建設すべく
残留を命じるものの兵器も食料も事欠き、
敗退につぐ敗退.....
台湾への撤退命令が出たのは５年後。
多くの兵士が死にました。
いまでもこの地には元国民党兵がひっそりと暮らしているのです。
この話を映画化した
異域之末路英雄という映画がとーーーーーーってもいい映画ですので
ぜひ御覧ください。
梁朝偉（トニー・レオン）や林志穎（ジミー・リン）が出ています。
調べたらなんとYoutubeに全編が出ていました！
→異域之末路英雄
話を調景嶺に戻しますが、
最初は普通の難民同様に香港島や九龍で
収容していたものの
共産党シンパの住民との小競り合いが頻発し
香港当局は海と山に隔絶された調景嶺に
彼らを隔離します。
それでもトラブルは続き
貯水槽に毒を入れられて中毒になる人が
多数出る事件もありました。
そのため、自警団が出来たそう。
毛沢東系の疑いのあると
メッタ打ちにされたとか.....
中国には中国語と言ってもいろいろな言葉があり
その地方により言葉は全く違います。
香港では広東語が広く使われていますが、
ここでは住民が中国各地から集まってきたので
公用語が中国語になっていました。
それどころか学校も
台湾政府作成のカリキュラムで
香港の他の学校とは違い
中国語で授業が行われていたのです。
ここの住民は60年代までは
香港の市民権もなく難民扱いですから
基本的に調景嶺の外には出れませんでした。
そのため、食事や医療のケアなど
台湾の中華民国政府から援助があり
ここに住んでいれば飢えずに暮らせると
配給目的で住んだ香港人も
少なからずいたのが実に香港っぽい。
調べてて気がついたのですが
離島の南Ｙ島（ラマ島）生まれの
名優チョウ・ユンファがどういうことか
ここの小学校を出ているのが不思議でした。
ご家族はかなり生活に困っていたそうで
ご家族はかなり生活に困っていたそうで
ひょっとしてご家族が上記の配給目当てで
ここに移住した可能性もありますね。
後にはアメリカ系のQuaker教徒が
物資の支援を行いここで信者を増やしています。
いまでも大嶼山（ランタオ島）に
大きなトラピスト寺院がありますが
ここは中国共産化と文化大革命による迫害で
香港に逃げた人たちでひらいた寺院です。
経済成長を迎えた70年〜80年代前半の香港でも
ここの存在は手付かずになっていて
基本的に普通の香港人が寄り付かない街でした。
アクセスは西灣河からの船と旺角からのミニバスで
何度か船を見ましたがスターフェリーのような
小奇麗な船ではなくてちょっと....な船でした。
むかしは悪さをした子どもに
「アンタ！調景嶺に送るわよ！」といえば
子どもがシュンとしてしまうような
インパクトのある場所だったそう。
60年代から良くも悪くも変わらなかった
そんな街を揺るがしたのが香港返還。
返還後の厄介モノになりかねないとばかりに
香港政庁が1988年に調景嶺開発計画を発表。
ニュータウンとして開発することにしたのです。
もちろん、ニュータウンとは名目上の話。
九龍城同様に移転反対運動もおきましたが
結局彼らは厚徳邨という公団住宅に
移転していきました。
今ではニュータウンとともに
地下鉄駅も出来て香港島の繁華街「北角」から
たった3駅ととても便利な立地です。
余談ですが、「北角」は上海人の多い土地です。
そして今調景嶺に向かうひとのなかでも
「国民党の落人村」の過去を知る人は
そういないのではないでしょうか。
調景嶺站（Tiu Keng Leng Station）地図PDF
調景嶺站（Tiu Keng Leng Station）Google Map
キャセイパシフィック航空
Cathay Pacific Airways
國泰航空 Website
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